安全靴の先芯とは?わかりやすく解説します
安全靴を選ぶときに、「先芯(さきしん)」という文字をよく目にすると思います。
また新たな職について「鉄芯入りの安全靴」が必要と言われて、「?」となる方もいっらしゃるかと思います。
今回は、先芯について、わかりやすく解説します。安全靴を選ぶ際のご参考になれば幸いです。
安全靴の先芯ってなに?
先芯とはつま先部分に入っている金属や複合材の芯で、落下物や圧迫から足を守る大事な部分です。
具体的には、つま先を守るために靴の中に入っている硬いパーツを指します。作業中に工具や荷物が落ちても、足先をしっかり守ってくれる頼もしい存在です。
普段は靴の中に隠れて見えませんが、安全靴の性能を支える重要な部分と言えるでしょう。

特に製造業・建設業・物流業などでは、安全衛生法に基づきJIS規格を満たした安全靴の着用が推奨・義務化されており、先芯の品質は現場の安全に直結します。
JIS規格とJSAA規格の違い
安全靴を選ぶときに重要なのが先芯の強度を示す規格です。
現在、日本で主に使われている規格は JIS規格(国家規格) と JSAA規格(業界規格) の2種類があります。
どちらもつま先を守る目的は同じですが、用途や強度レベルが異なります。
▶JIS規格の先芯
JIS規格は、日本産業規格が定めた安全靴の基準で、最も高い安全性能を誇ります。
耐衝撃性能は「200J以上」、耐圧迫性能は「15kN以上」と非常に高く、建設現場・鉄鋼業・製造業など、重量物を扱う重作業現場に最適です。
鋼製や強化樹脂の先芯を採用しており、落下物や重機の衝撃から足をしっかり守ります。
一方で、重量はやや重く、長時間の歩行や軽作業には不向きな場合もあります
- 普通鋼先芯:約100kgf(約980N)以上の圧力に耐える
- 強化鋼先芯:約150kgf(約1470N)以上の圧力に耐える

▶JSAA規格の先芯
JSAA規格は民間の安全靴協会(公益社団法人日本保安用品協会規格)が定める「プロテクティブスニーカー(先芯入りスニーカー)」の基準です。
軽量で動きやすく、スポーティなデザインが多いのが特徴です。
JSAA規格は安全性能(基準値)の違いによってA種とB種にわけられます。
A種のほうがより高い強度が求められるため、重量物からの落下などの危険性が高い作業に適しています。
A種(普通作業用):
- 耐衝撃性能が70J(ジュール)以上。
- 耐圧迫性能が10kN(キロニュートン)以上。
これはJIS規格のS種(普通作業用)に相当する性能レベルです。
重い部品や資材を扱う製造業、フォークリフトなどが行き交う倉庫・物流業など、足の甲やつま先に強い衝撃や圧迫を受けるリスクが高い現場での使用におすすめです。
軽量性と安全性のバランスが良く、物流業・製造業でよく採用されています。

B種(軽作業用):
- 耐衝撃性能が30J以上。
- 耐圧迫性能が4.5kN以上。
これはJIS規格のL種(軽作業用)に相当する性能レベルです。
比較的軽い荷物を扱う作業、長時間の立ち仕事や歩行が多い店舗、事務所内の軽作業など、フットワークの軽さや履き心地が重視される現場での使用に適しています。
A種に比べると、つま先への大きな危険性は低い作業が想定されています。
まとめ
職場環境に合った強度レベルを選ぶことが、安全靴選びのポイントです。
●安全性最優先なら → JIS規格
●動きやすさと軽さ重視なら → JSAA A種・B種
規格 | 作業区分 | 耐衝撃性能 | 耐圧迫性能 | 安全性 | 推奨される作業 |
JIS規格(JIS T8101 安全靴) | 重作業用 | 200J以上の衝撃に耐える | 15kN以上の圧迫荷重に耐える | 最も高い(国家規格で厳格) | 建設業、鉄鋼業、製造業など重量物を扱う現場、重機作業など |
JSAA規格 A種(普通作業用) | 普通作業用 | 70J以上の衝撃に耐える | 10kN以上の圧迫荷重に耐える | B種より高い | 重量物を扱う製造業・物流業など、落下・挟み込みの危険がある現場 |
JSAA規格 B種(軽作業用) | 軽作業用 | 30J以上の衝撃に耐える | 4.5kN以上の圧迫荷重に耐える | A種より低いが軽快 | 軽い荷物の取り扱い、長時間歩行の多い軽作業、店舗での品出しなど |
ところでジュールって?1ジュールとは 100グラムの物体(りんごくらい)を約1メートルの高さから落とした時のエネルギーに相当します。
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